振袖にショールは必須アイテム?ショールは本当に必要?
成人式で振袖を着た女性は、ほとんどの人が肩からショールをかけています。フワフワの白いショールを纏った女性は、とても気品よく上品な姿に見えますよね。豪華な振袖に白い毛皮のショールは、成人式を象徴するスタイルです。しかし、このショールを成人式以外で目にすることはあるでしょうか?本記事では振袖姿のショールについて解説します。
ショールは絶対に必要ではない!
一部の地域を除けば、成人式は基本的に1月第2月曜日です。ハッピーマンデーが適用される以前は1月15日が成人の日、祝日とされていました。1月の中旬といえば真冬、大寒に近い日付です。大雪に見舞われる年も珍しくはありません。寒さ対策もあり、成人式では多くの女性がフワフワのショールを羽織っています。ショール無しの人もいなくはないのですが、極めて少数派です。
集合写真を撮ると上半身しか映らない2段目、3段目以降の人は一様にショールを羽織っているため、同じような着物姿に見えてしまいます。華やかな振袖柄も、キレイに整えた襟元も「みんなと同じ」では、ちょっぴり残念な写真になってしまいますよね。振袖は未婚女性の第1礼装と定められていますが、実はショールは礼装の一つには入っていないのです。「振袖にはショールを羽織らなければならない」と、いったような着物のルールはありません。
ショールの役割とは
着物は後ろ襟を開けて、うなじがほんのり見えるように着付けます。衣紋抜きといって上品で美しい着姿なのですが、首部分に布がないので冬場はとても寒いのです。真冬の成人式にはとても辛い思いをしてしまいます。着物の防寒対策としてはコート、羽織、道中着などさまざまな物がありますが、すっぽりと着物を覆ってしまうので、せっかくの振袖がほとんど見えません。振袖用のコートもありますが、柄を隠してしまったり、振袖以外では使えなかったりで、仕立てる人は少ないようです。
寒さをしのぎ、着物を埃や水わから守るにはコート類がよいのですが、一生に一度の成人式、道行く人にも艶やかな振袖姿を見せたくなりますよね。ショールは毛皮素材が多く、暖かい上におしゃれ感があります。首元だけを覆うので、襟以外の柄を隠すことはありません。真冬の最中、少しでも多くの人に振袖を見てもらいたい、そんな乙女心からショールは成人式で着用されるようになりました。
会場内はショールを取るのがマナー
防寒し、着物を保護する衣類、コート、道中着、羽織などを総称して羽織物と呼びます。ショールも羽織物の一つです。こうした羽織物には冠婚葬祭におけるマナーがあります。訪問時、羽織物は玄関の前で、脱がなくてはなりません。羽織物についた塵や埃で訪問先を汚さないためです。たとえば雨の日に、水滴のついたレインコートで訪れるお家の中へ入る人はいませんよね。
成人式のショールも同様です。成人式の会場前ではショールを取るのが本来のマナーです。会場内でショールは肩からかけず、軽く畳んで腕に持つかバッグに入れてしまいましょう。席についてから膝に載せておけば膝上が暖かくなりますよ。成人式では初めて着物を着る人も多く、このショールのマナーが充分に守られていません。会場前でショールは取りましょう。
振袖用のショールは基本的に成人式でしか用いません。この場合、室内でショールは着用しない、というマナーがきちんと守られている訳です。となると成人式にショールが必要となるのは、自宅から会場前の道中に限られます。この点を踏まえて、始めからショールを用意しない人も確かにいるのです。「みんなが身に着けているから」という理由で、自分も着用しなければならない、なんてことはありません。成人式は大人への一歩を踏み出す大切な日です。正式なマナーを守りつつ、自分らしい個性をアピールしていきましょう。